堀江由衣 LIVE TOUR 2019 文学少女倶楽部

 ライブとしては2015年3月に開催された『堀江由衣をめぐる冒険V ~ねらわれた学園祭~』以来約4年ぶり、ライブツアーとしては2012年3~4月に開催された『堀江由衣をめぐる冒険III ~Secret Mission Tour~』以来約7年ぶり、生バンドのライブとしては2002年1~2月に開催された『堀江由衣 First Live Tour』以来約17年ぶりとなるほっちゃんのライブに参加した。

 自分が初めてほっちゃんのライブに参加したのは2006年2月8日に開催された『堀江由衣 Second Tour 2006 “堀江由衣をめぐる冒険”』の東京公演なので、生バンドのワンマンライブは初体験。また、『めぐる冒険』のようにストーリー仕立てになっていないライブも初めてだったので、今回の『三嶋章夫プロデュース』『バンド形式でのライブ』がどんなものになるのか、少なからず不安もあった。

 だが、ライブが始まればそれは杞憂に終わった。幕間で流れる『文学少女倶楽部』をテーマとした映像(映画の予告編をイメージして制作されたとのこと)。ここに『めぐる冒険』からの流れが生きているように感じた。東京から田舎の学校に転校してくる堀江由衣(17)は、なんと『めぐる冒険V』の舞台であったエコー女子学院の制服を着ている。ここに『めぐる冒険』からの繋がりが感じられ、非常に嬉しくなった。『堀江由衣』という核があれば、どんな形式だろうとそれは『堀江由衣のライブ』なのだ。そう思った。ライブパンフレットのインタビューによると、ほっちゃん自身は自分以外が決めたセットリストでライブを行うことを極めて前向きに捉えているようだった。そして「『めぐる冒険』のときはセットリストをほとんど自分で決めてたってことか? ほっちゃんのセルフプロデュースぢからすごすぎるだろ」とほっちゃんのすごさを改めて感じるのである。

 そして、ライブパフォーマンス。ほっちゃんが歌う機会は、毎年開催されるファンクラブイベント『黒ネコ集会』やフェスイベントなど、ライブが開催されていない間も皆無だったわけではなく、自分もこの4年の間にほっちゃんのライブパフォーマンスを見ていたのだが、やはり『ワンマンライブ』という形式でほっちゃんの歌を聴くと、その変わらぬパフォーマンスに感動した。歌多めの黒ネコ集会でも曲数としては10曲前後だが、今回のライブでは23曲を披露。ステージ上で、ファンの求める『堀江由衣』を完全に体現するほっちゃん。これが僕の好きな声優なんだなと改めて思った。

 また、今回のライブツアーで改めて感じたのが、ほっちゃんのMCの面白さである。『めぐる冒険』では全編ストーリー仕立てになっていることもあり、本編でのMCは基本的にはなかったが、今回はバンド形式ということもあってかMCが多かった。千秋楽の大阪公演では、それまでの公演と曲数は変わらないのに公演時間が3時間40分ぐらいに延び、帰りの最終新幹線に間に合うかひやひやするぐらいであった。まず最初のMCで飛び出すのが、今日のライブは「近年稀に見る」(大宮1日目)「今世紀最大の」(大宮2日目)「なんだかなんだ2019年で一番の」(一宮)「控えめに言って人生で最高の」(大阪)ライブになるという宣言である。そんなライブを楽しむためには、隣の人とぶつかってしまっても「最高のライブだから仕方ない」の精神を持て。前の人の背が高くて見えなくても、ライブは3時間ぐらいあるからそのうちほっちゃんは見える。でも後ろの人が小さい子だったら前の人はちょっとは気にしてあげて。などなど、ほっちゃんらしいユーモアたっぷりのトークで客(劇団ほりえ)に対してライブでの心構えを説く。客のことを『劇団ほりえ』と呼ぶのは、ライブがストーリー仕立ての『めぐる冒険』においては「客もストーリーを構成する一部である」ということに由来するが、今回のライブでは、劇団ほりえは「ライブを最高に盛り上げる」ことを求められる。そしてステージ上の演者は客の盛り上がりに対し申し分のないパフォーマンスを披露する。極めてWin-Winの関係だなと思った。

 以降のMCで中心となった話題は、「バンドメンバーいじり」である。ほっちゃんはかねてより「バンドマンが苦手」という話をしていたこともあり、「バンドメンバーと仲良くなれているか不安」「仲良くなったと思ったけど、バンドメンバーはダンサーと話しているときの方が楽しそうだった」「一宮公演の前日に名古屋入りしたが、バンドメンバーとダンサーの8人(松本ジュンさんを除く)で3時半まで人狼をやっていた。私は誘われていない」「みなさんが『自分だけが知っているほっちゃんちょっといい話』を話してくれたら人狼のことは水に流す」と、大宮2daysを通して少し仲良くなったかと思ったら一宮のほっちゃん抜き人狼事件で仲違いをし、千秋楽の大阪公演で和解する、と狙ったわけではないだろうに起承転結が完璧で、大いに笑わせてもらった。バンドメンバー、ダンサーに対するほっちゃんのドSっぷりが遺憾なく発揮されているMCだったように思う。

 バンド形式になったことで、MCで「バンドメンバーが語る堀江由衣楽曲の良さ」が聞けたことはほっちゃんの曲の良さを改めて感じることができて非常に良かった。『A Girl in Love』のピアノやバイオリン、『CHILDISH LOVE WORLD』の人間が叩くことを想定していないドラム、『True truly love』のベース、『PRESENTER』のギターなどなど、バンドメンバーをもう一度集めて「堀江由衣楽曲のここがすごい」をテーマにトークイベントをやってほしいぐらいである。また、生バンドで聴いてみて「この曲生バンドだとめっちゃ映えるな」と思った曲も多く、バンドの良さも再認識した。アシンメトリーとかめっちゃよかった。好き。

 いろいろ書いてきたけれど、言いたいことは「ほっちゃんのライブ最高だった!! またやってほしい!!!! バンド形式のライブが楽しいのはもちろんだけどまた冒険にも出たい!!!!」ということに尽きるのである。『堀江由衣の天使のたまご』に1stライブを終えた林原めぐみがゲスト出演した際、ほっちゃんは「林原さんは一生ライブをしなきゃいけない人なんだと思う」と語っていたが、ファンから言わせればほっちゃんもライブをやり続けないといけない人だと思う。今回初めて堀江由衣ライブに参加した人が楽しかったと言っているのをツイッターなどで観測するのは嬉しかったし、全人類にほっちゃんのライブの良さを知ってほしいと思っているので。

 またライブでほっちゃんに逢える日を楽しみにしつつ。あ、『For フルーツバスケット』で観客のコーラスに対して手をぱちぱちするほっちゃんがめっちゃよかった。好き。

 

【セットリスト】

01. 春夏秋冬
02. ヒカリ
03. 笑顔の連鎖
04. Love Destiny
05. 桜
06. Sunflower
07. 夏の約束(大宮1・一宮)/Stay With Me(大宮2・大阪)
08. never ever
09. キミイロ
10. PRESENTER
11. 朝顔
12. True truly love
13. スクランブル(大宮1・一宮)/YAHHO!!(大宮2・大阪)
14. Love Countdown
15. A Girl in Love
16. HAPPY SNOW(大宮1・2)/Golden Time(一宮・大阪)
17. Golden Time(大宮1・2)/心晴れて 夜も明けて(一宮)/バニラソルト(大阪)
18. アシンメトリー
19. silky heart
20. CHILDISH LOVE WORLD
EN1. 光の海へ
EN2. For フルーツバスケット
EN3. Happy happy*rice shower