Wake Up, Girls! 解散に寄せて ~WUGと青い鳥~

 本稿は、2018年の夏コミで発行した同人誌『声ヲタグランプリVol.19』(谷部)に掲載された原稿をブログに載せるにあたり一部記載整備したものです(大枠としてはほとんど変えていません)。執筆時期としては2018年の8月、ちょうど『Start It Up,』の頃ですが、当時書き綴ったことがHOMEツアー全33公演を終えた今の気持ちともあまり変わらないのでは、と思ったので、ブログで公開してみます。

 なお、注意点としまして、

 それではどうぞ。

 

Wake Up, Girls! 解散に寄せて ~WUGと青い鳥~

  2018年6月15日。それは唐突にやってきた。声優ユニットWake Up, Girls!」は、2019年3月をもって解散というファンクラブからのメール。前日の6月14日には、毎年恒例となった『Wake Up, Girls! ×東北楽天ゴールデンイーグルス』のコラボナイターが開催。こちとら5年連続で平日に休暇を取ってコラボナイターに参加していたのだ。5年目のコラボナイターでは『極上スマイル』が応援歌として採用され、来年以降のコラボも期待できるものだと思っていた。そんなWUGナイター翌日の解散発表はあまりに唐突だった。

 私とWUGとの出会いは、2014年1月の、劇場版『七人のアイドル』とTVシリーズである。正確に言うならそれより以前からWake Up, Girls!という名前自体は耳にしていたが、アニメが始まっていない時点で声優ユニットを追いかけようという気には全くならなかったので、きっかけはやっぱりアニメだったのだ。映画をやっているなら見に行くか、せっかく見に行くなら舞台挨拶の回にするか、と本当に軽い気持ちで見に行った。そのときに見たWUGメンバーの印象は、正直よく覚えていない。まさに『初めての出会いは平凡だったけど』というやつである。その後はTVシリーズを見続けて、なんか良いなあと思ったのでちょろちょろイベントに行くなどしていた。そして8月から9月にかけて開催された1stライブツアー『素人臭くてごめんね!』。当時はこれが最初で最後のツアーになると思っていたので、東京公演に加えて、千秋楽の仙台公演にも行くことにした。今考えると「これが最後だろう」と思ってわざわざ仙台まで遠征するの、この時点でかなりWUGのこと好きだよな自分。そんな仙台公演の終了後、自分は以下のようなツイートをしていた。

 

  自分の飽きっぽさは自覚していたので、「ずっと好きでいる」「ずっと追いかけ続ける」ということの難しさを、WUGを好きになって1年目で既に考えていた。そんな不安をよそに、2014年12月の『Wake Up, Girls! FESTA. 2014 Winter』にて続編劇場版の制作が発表。2015年の夏に開催された2ndライブツアー『行ったり来たりしてごめんね!』は、大阪・福岡・東京・仙台の4会場8公演あったが、うっかり全通してしまった。ツアー全通なんて2012年の堀江由衣堀江由衣をめぐる冒険III ~Secret Mission Tour~』以来。2年目になっても相変わらずWUGに対する熱は冷めやらぬ感じであった。

 2016年にアニメの新たな展開はない中で開催された3rdライブツアー『あっちこっち行くけどごめんね!』は、「アニメの展開がない分Wake Up, Girls!というコンテンツを私たちが引っ張っていかなければ」というWUGちゃんたちの決意が感じられるものだった。7会場(千葉、大阪、新潟、仙台、沖縄、福岡、東京)14公演の規模となり、プリンセスという会場ごとのお当番制度が設けられたツアーでもあった。自分は千葉・新潟・仙台・東京の4会場8公演に参加したが、プリンセスを務めるということはかなりの重圧だったようで、ライブの最後のMCでプリンセス担当への思いを他のメンバーが話していたのが印象的であった。ライブBlu-rayには東京公演が収録されているため、プリンセス田中美海の勇姿は今でも視聴できる。映像化されやすいのはやっぱり東京近郊での公演になってしまうので、みにゃみ推しは得をしているなあと思うところ。また千秋楽では生バンドというサプライズもあった。

 2017年はアニメ新章を控えての4thライブツアー『ごめんねばっかり言ってごめんね!』。ツアー規模は前年と同じく7会場14公演。場所は大阪、仙台、埼玉、福岡、沖縄、広島、東京。仙台、福岡、沖縄の3会場は前年とまったく同じ会場であり、あんまり代わり映えしないな、というのが第一印象だった。そのため当初は仙台、埼玉、東京の3会場に行けばいいかなと思っていたのだが、埼玉公演の後に気付いたら福岡公演のチケットと飛行機を取っていた。結果プラチナ・サンライズが回収できたので良かった。

 そんなこんなで思い返してみるとWUGのツアーって毎年楽しかったなあと。また、『自分と東北との繋がり』というのもWUGがきっかけだった。父親は九州、母親は関東の出身で、東北には親戚もおらず、行ったこと自体がほとんどなかった。だがWUGにハマってからは実家に帰った回数よりも仙台に行った回数の方が間違いなく多いし、チャリティーコンサートで岩手に行ったり、田中美海ソロイベントで秋田に行ったり、WUGがきっかけで初めて行った県というのも増えた。特に2018年3月の秋田遠征はあいにくの雨模様だったものの、昼に食べた比内地鶏の親子丼がめちゃくちゃ美味かったり、ソロイベント後に適当に入った飲み屋で東北の日本酒を色々飲み比べたり、翌日に雨の千秋公園を散策したりと、イベント以外も楽しい記憶が残っている。ソロイベントといえば2017年の田中美海ソロイベントは声優アワード田中美海が新人女優賞を受賞した翌日だったことや、メモリアルライブというコンセプトもあってかなり感慨深かったし、小学校の卒業式で「私は声優になります!」って宣言して卒業証書をもらうみにゃみの映像を見て泣いたよね。

 話を本筋に戻そう。WUGを好きになってからずっと抱いていた「ずっと好きでいる」なんてことができるのかという不安に対し、「毎年毎年楽しいライブツアーをやる」というシンプルな回答を提示してくれる声優ユニット。もちろんライブだけじゃなく、ラジオやトークイベントに動画番組に、いろいろなコンテンツが楽しかった。7人のバランス感が好きだった。だからこそこれまで「好き」という状態であり続けることができたのだと思う。「好き」の継続といえば、田中美海フォトブック『みにゃみのとぅえんてぃーず』にて、田中美海がファンへのメッセージとして「あ、でも無理はしないでくださいね(笑)。人を応援するのって、大変なことだと思いますから。できる範囲で、私のことを思っていただけたら幸せです」と語っており、あーそういうこと言ってくれると好きになっちゃうよねとなった。このみにゃみのメッセージは『KING SUPER LIVE 2015』のパンフレットの堀江由衣インタビュー、「堀江由衣は、もっと気軽なもので良いんです(笑)」に通ずるものがある。だって声ヲタは一瞬じゃなくて持続させるものでときにはケガするくらいの覚悟でのぞまなきゃ。でも無理しすぎは禁物。

 過去のライブツアーの振り返りはこれくらいにして、今の話をしたい。現時点で、『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME -』のPART I、『Start It Up,』が終了したところである。メンバー曰く「ホームパーティーみたいな楽しいライブ」とのことだが、まさにそのとおりでとにかく楽しいライブだった。ライブのMCで青山吉能が「『楽しさ』が『寂しさ』に勝ちましたか?」と言っていたが、寂しさというよりは「こんなに楽しいのに本当に解散するのか?」との思いが湧いてくるほどだった。だが、2019年の3月に声優ユニットが解散することは止められない。リズの決断を青い鳥は止められないし、WUGの決断をオタクが止めることもできないのだ。突然の解散発表で、心の中にもやもやしたものが残っていることは事実だ。ただ、『リズと青い鳥』の終盤で傘木希美が「私、みぞれのソロ、完璧に支えるから。今は、ちょっと待ってて」と言ったように、まだ解散について心の整理がついていなくてもこう言うことはできる。「私、WUGの最後のツアー完璧に支えるから。今は、ちょっと待ってて」、と。