堀江由衣 LIVE TOUR 2019 文学少女倶楽部

 ライブとしては2015年3月に開催された『堀江由衣をめぐる冒険V ~ねらわれた学園祭~』以来約4年ぶり、ライブツアーとしては2012年3~4月に開催された『堀江由衣をめぐる冒険III ~Secret Mission Tour~』以来約7年ぶり、生バンドのライブとしては2002年1~2月に開催された『堀江由衣 First Live Tour』以来約17年ぶりとなるほっちゃんのライブに参加した。

 自分が初めてほっちゃんのライブに参加したのは2006年2月8日に開催された『堀江由衣 Second Tour 2006 “堀江由衣をめぐる冒険”』の東京公演なので、生バンドのワンマンライブは初体験。また、『めぐる冒険』のようにストーリー仕立てになっていないライブも初めてだったので、今回の『三嶋章夫プロデュース』『バンド形式でのライブ』がどんなものになるのか、少なからず不安もあった。

 だが、ライブが始まればそれは杞憂に終わった。幕間で流れる『文学少女倶楽部』をテーマとした映像(映画の予告編をイメージして制作されたとのこと)。ここに『めぐる冒険』からの流れが生きているように感じた。東京から田舎の学校に転校してくる堀江由衣(17)は、なんと『めぐる冒険V』の舞台であったエコー女子学院の制服を着ている。ここに『めぐる冒険』からの繋がりが感じられ、非常に嬉しくなった。『堀江由衣』という核があれば、どんな形式だろうとそれは『堀江由衣のライブ』なのだ。そう思った。ライブパンフレットのインタビューによると、ほっちゃん自身は自分以外が決めたセットリストでライブを行うことを極めて前向きに捉えているようだった。そして「『めぐる冒険』のときはセットリストをほとんど自分で決めてたってことか? ほっちゃんのセルフプロデュースぢからすごすぎるだろ」とほっちゃんのすごさを改めて感じるのである。

 そして、ライブパフォーマンス。ほっちゃんが歌う機会は、毎年開催されるファンクラブイベント『黒ネコ集会』やフェスイベントなど、ライブが開催されていない間も皆無だったわけではなく、自分もこの4年の間にほっちゃんのライブパフォーマンスを見ていたのだが、やはり『ワンマンライブ』という形式でほっちゃんの歌を聴くと、その変わらぬパフォーマンスに感動した。歌多めの黒ネコ集会でも曲数としては10曲前後だが、今回のライブでは23曲を披露。ステージ上で、ファンの求める『堀江由衣』を完全に体現するほっちゃん。これが僕の好きな声優なんだなと改めて思った。

 また、今回のライブツアーで改めて感じたのが、ほっちゃんのMCの面白さである。『めぐる冒険』では全編ストーリー仕立てになっていることもあり、本編でのMCは基本的にはなかったが、今回はバンド形式ということもあってかMCが多かった。千秋楽の大阪公演では、それまでの公演と曲数は変わらないのに公演時間が3時間40分ぐらいに延び、帰りの最終新幹線に間に合うかひやひやするぐらいであった。まず最初のMCで飛び出すのが、今日のライブは「近年稀に見る」(大宮1日目)「今世紀最大の」(大宮2日目)「なんだかなんだ2019年で一番の」(一宮)「控えめに言って人生で最高の」(大阪)ライブになるという宣言である。そんなライブを楽しむためには、隣の人とぶつかってしまっても「最高のライブだから仕方ない」の精神を持て。前の人の背が高くて見えなくても、ライブは3時間ぐらいあるからそのうちほっちゃんは見える。でも後ろの人が小さい子だったら前の人はちょっとは気にしてあげて。などなど、ほっちゃんらしいユーモアたっぷりのトークで客(劇団ほりえ)に対してライブでの心構えを説く。客のことを『劇団ほりえ』と呼ぶのは、ライブがストーリー仕立ての『めぐる冒険』においては「客もストーリーを構成する一部である」ということに由来するが、今回のライブでは、劇団ほりえは「ライブを最高に盛り上げる」ことを求められる。そしてステージ上の演者は客の盛り上がりに対し申し分のないパフォーマンスを披露する。極めてWin-Winの関係だなと思った。

 以降のMCで中心となった話題は、「バンドメンバーいじり」である。ほっちゃんはかねてより「バンドマンが苦手」という話をしていたこともあり、「バンドメンバーと仲良くなれているか不安」「仲良くなったと思ったけど、バンドメンバーはダンサーと話しているときの方が楽しそうだった」「一宮公演の前日に名古屋入りしたが、バンドメンバーとダンサーの8人(松本ジュンさんを除く)で3時半まで人狼をやっていた。私は誘われていない」「みなさんが『自分だけが知っているほっちゃんちょっといい話』を話してくれたら人狼のことは水に流す」と、大宮2daysを通して少し仲良くなったかと思ったら一宮のほっちゃん抜き人狼事件で仲違いをし、千秋楽の大阪公演で和解する、と狙ったわけではないだろうに起承転結が完璧で、大いに笑わせてもらった。バンドメンバー、ダンサーに対するほっちゃんのドSっぷりが遺憾なく発揮されているMCだったように思う。

 バンド形式になったことで、MCで「バンドメンバーが語る堀江由衣楽曲の良さ」が聞けたことはほっちゃんの曲の良さを改めて感じることができて非常に良かった。『A Girl in Love』のピアノやバイオリン、『CHILDISH LOVE WORLD』の人間が叩くことを想定していないドラム、『True truly love』のベース、『PRESENTER』のギターなどなど、バンドメンバーをもう一度集めて「堀江由衣楽曲のここがすごい」をテーマにトークイベントをやってほしいぐらいである。また、生バンドで聴いてみて「この曲生バンドだとめっちゃ映えるな」と思った曲も多く、バンドの良さも再認識した。アシンメトリーとかめっちゃよかった。好き。

 いろいろ書いてきたけれど、言いたいことは「ほっちゃんのライブ最高だった!! またやってほしい!!!! バンド形式のライブが楽しいのはもちろんだけどまた冒険にも出たい!!!!」ということに尽きるのである。『堀江由衣の天使のたまご』に1stライブを終えた林原めぐみがゲスト出演した際、ほっちゃんは「林原さんは一生ライブをしなきゃいけない人なんだと思う」と語っていたが、ファンから言わせればほっちゃんもライブをやり続けないといけない人だと思う。今回初めて堀江由衣ライブに参加した人が楽しかったと言っているのをツイッターなどで観測するのは嬉しかったし、全人類にほっちゃんのライブの良さを知ってほしいと思っているので。

 またライブでほっちゃんに逢える日を楽しみにしつつ。あ、『For フルーツバスケット』で観客のコーラスに対して手をぱちぱちするほっちゃんがめっちゃよかった。好き。

 

【セットリスト】

01. 春夏秋冬
02. ヒカリ
03. 笑顔の連鎖
04. Love Destiny
05. 桜
06. Sunflower
07. 夏の約束(大宮1・一宮)/Stay With Me(大宮2・大阪)
08. never ever
09. キミイロ
10. PRESENTER
11. 朝顔
12. True truly love
13. スクランブル(大宮1・一宮)/YAHHO!!(大宮2・大阪)
14. Love Countdown
15. A Girl in Love
16. HAPPY SNOW(大宮1・2)/Golden Time(一宮・大阪)
17. Golden Time(大宮1・2)/心晴れて 夜も明けて(一宮)/バニラソルト(大阪)
18. アシンメトリー
19. silky heart
20. CHILDISH LOVE WORLD
EN1. 光の海へ
EN2. For フルーツバスケット
EN3. Happy happy*rice shower

好きな声優の相方としてのエリイちゃん

以下の文章は2019年の夏コミにて、サークル『Hameau d'Erii』さんのエリイちゃん本に寄稿したものです。それではどうぞ。

 

 山崎エリイという存在を知ったのは、2011年10月の『第36回ホリプロタレントスカウトキャラバン 次世代声優アーティストオーディション』である。わざわざ現地に行って観覧する知り合いもいる中、家で配信を見た。でもそのとき気になったのはエリイちゃんではなく木戸衣吹ちゃんだった。なぜなら木戸ちゃんはオーディションの自由曲で堀江由衣の『YAHHO!!』を歌ったからである。その後木戸ちゃんは『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』を皮切りに『帰宅部活動記録』『ゴールデンタイム』などなど順調にアニメ出演を積み重ね、「every♥ing!ならやっぱ木戸ちゃんだな~」となった。かといってevery♥ing!はフェスで見る程度で単独イベントに行く機会はなく、結局ワンマンライブに行ったのは2017年11月の卒業公演が最初で最後だった。卒業公演はとても楽しくてもっとワンマン参加しとけばよかったなあなどと思ったけどそれもまた人生。

 そんなevery♥ing!の卒業公演から半年ほど経った2018年3月、アプリゲーム『Tokyo 7th シスターズ』から、玉坂マコト(CV山崎エリイ)と折笠アユム(CV田中美海)による新ユニット『Ci+LUS(シトラス)』がデビューすることが発表された。何を隠そう筆者は『Tokyo 7th シスターズ』のライブには1stから参加しており、かつ『Wake Up, Girls!』の田中美海のオタクであったため、みにゃみの念願のナナシス内ユニットデビュー、そしてその相方がエリイちゃんという、再びエリイちゃんに注目せざるを得ない機会がやってきたのである。デビューシングル『シトラスは片想い』はタイトルの示すとおり片想いをテーマにした楽曲だが、ユニットを組む前からみにゃみはマコトが、エリイちゃんはアユムがそれぞれ推しキャラであったことがわかり「私たちは両想いだね~」となったエピソードを繰り出してこられると「はい好き~」となってしまうよね。Tokyo 7th シスターズ メモリアルライブ 『Melody in the Pocket』in 日本武道館では「マコト、来たよ。お姉ちゃん」というセリフに対する女性支配人の悲鳴のような歓声にエリイちゃんというかマコトの人気を肌で感じ、『かわいいの暴力』で全力で殴ってくるCi+LUSのステージに完全にやられた。『Animelo Summer Live 2018“OK!”』では、ソロで歌うエリイちゃんを初めて見た。そして田中美海FIVE STARSのゲスト回にてエリイちゃんが「WUGの推しはみにゃみちゃん」と言っているのを聞き、ようやくエリイちゃんのリリイベに行ってお話することを決意したのだった。

 「みにゃみのFIVE STARSのゲスト回聴きました。僕もみにゃみ推しです」といった他愛もない話(女性声優のお渡し会で別の声優の話をするオタク)をしたのだが、端的に言ってエリイちゃんはめちゃくちゃかわいかった。山崎エリイを好きになる人の気持ちがわかったような気持ちにさせられたし、うっかりエリイちゃんとお話するために『Starlight』を複数枚買ってしまったよね。そんなこんなで2ndアルバム『夜明けのシンデレラ』も購入し、2018年12月に開催された『山崎エリイSPECIAL LIVE ~夜明けのシンデレラ~』に行くことにした。夜公演のみの参加だったが前方通路席を引き当ててしまい、ライブ中に客席に降りてきたエリイちゃんが隣を通るし、様々なタイプの楽曲を聴くことができ満足度は高かったのだが、やっぱり声優にはアニメから入る派のオタクとしてはアニメにもっと出てくれないとエリイちゃんにこれ以上ハマれないよなという気持ちも正直ある。2019年7月には山崎エリイ名義でのアーティスト活動に加え、自主レーベルを立ち上げErii名義での楽曲もリリースしていくことが発表され、アーティストとしての活動はこれからも精力的にやっていきたい意向があるのだろうけど、アニメ出演など声優としての活動はどうなっていくのかな~という感じ。

 最後に『好きな声優の相方としてのエリイちゃん』というタイトルを回収していきたいと思うのだが、『阿部里果山崎エリイのこれって推し事なんです』第8回にて、みにゃみが『推し』という概念について「推しが輝いているのが一番、私の推し輝いてる最高、みたいな」と語ったところ、エリイちゃんが「じゃあ私それ(推し)みにゃみちゃんだ。WUGちゃんのファイナルライブのときに手紙を読むシーンがあって。私みにゃみちゃんの手紙で号泣して。共演者さんに向けて号泣したの初めてで。ずっとWUGちゃんの中で黄色カラーというか、みにゃみちゃんみにゃみちゃんって思ってたから。私はそれ(みにゃみちゃんが推し)です。Ci+LUSのリハのときもずっと思ってて。私なんで隣で踊らせてもらってんだろうって、ずっと思ってて」と言い出し、好きな声優の相方とびっくりするぐらい推し被りになる経験ってあんまりなくない? となった。これからもみにゃみの推し被りとしてエリイちゃんの動向に注目していきたい。

東山奈央ちゃんがパシフィコ横浜でAice5のLove Powerを歌った

という貴重な声優体験をしたので久々にブログを書きます。

公式のライブレポートはこちら。

voicemediajp.net

横浜公演の舞台となったパシフィコ横浜・国立大ホールは、もちろん歌手としてワンマンライブを行うのは初めての場所だが、声優としては何度かイベントで立っている。それ以上に彼女自身にとって思い出深いのは、まだ一アニメファンだった高校生の頃に初めて声優アーティストのライブを見に行った場所だったということ。

「当時、堀江由衣さんが大好きで、堀江さんをきっかけに大好きになったAice5さんというユニットのライブを見に行ったのがパシフィコ横浜で。ここになんと、自分のソロ名義として、ツアーの国内千秋楽として立たせていただけるのが本当に夢のようです」

 東山奈央ちゃんがAice5パシフィコ横浜公演を見に来ていたということを話すのは、このライブのMCが初めてではない。

 自分の知る限りでは、2014年3月8日放送の『A&G超RADIO SHOW〜アニスパ!〜』にゲスト出演した際、パーソナリティである浅野真澄さんとの関係について、「実は声優になる前に、浅野さんもメンバーのひとりだった声優ユニットAice5パシフィコ横浜ライブを見に行ったことがある」というエピソードを披露した。

 当時の自分のツイートはこれ。

 

 また、2017年10月12日放送の「ミューコミプラス【インフォメーション】 | 毎週月~木 24:00〜25:00 | ラジオFM93+AM1242 ニッポン放送」では、好きなアニソンとしてAice5の『友情物語』を挙げ、これまたAice5パシフィコ横浜の思い出を語っていた。

 当時の自分のツイートはこれ。

 また、声優アニメディア2018年4月号に掲載の音楽に関するインタビューでは、以下の内容が確認できる(kindleストアではもう取り扱ってないっぽい?)。

 というわけで、東山奈央ちゃんが堀江由衣さんのことが好きだったこと、Aice5パシフィコ横浜でのライブを見に行っていたことは自分の中ではバリバリ既出情報だったので、MCでそこに触れてくる可能性はあるなあと思っていた。そしたら2日目の公演の最初のMCでほっちゃんの名前もAice5の名前も出すし、当時Aice5のライブを見に行っていた人はいるか客席に聞くしで想像以上にがっつり話をしてくれて嬉しさでいっぱいになりながらライブを見て、アンコールは何歌うんだろうな~と思ったらいきなり「Please come with me ア~メン」って流れてきてこれになった。

 さらにほっちゃんと奈央ちゃんの関係性で面白いのが、Aice5をやっていた頃にほっちゃんのマネージャー(アーツビジョン)をやっていたカリンコリンこと桑原さんが今インテンションの社長を鈴村さんと一緒にやってるってところですよね。

 Aice5パシフィコのライブDVDのクレジット。

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 インテンションから来ていたフラワースタンド

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ということで東山奈央ツアー横浜2日目がBlu-rayになるらしいのでLove Powerカットしないで完全収録してくれよと祈りながら終わります。

WUG_SSAに参加した女性声優+αまとめ

上記のようなツイートをしたものの、どこかになさそうだったので自分でまとめました。

 WUG_SSAに参加した女性声優+αまとめ - Google スプレッドシート

SNS、ブログ、ラジオ等で参加が確認できたものを載せています。

なお、まりんかに関しては終演直後にタグ付きツイートをしていて絶対参加していると思っていたらスーパーマリカクラブで実は行けなかったという話をしていてマジか~となりました。そういった経緯もありリストからは消さないでおきます。

 Twitterだと発言がどんどん流れていってしまうので(Twilogでログは残せるけど)、リンクをわかりやすく残しておくという意味でこのブログに貼っておきます。

Polarisななみにゃ手繋ぎ秘話( #ななみんのねごと 第2回おまけ放送より)

もっとブログを自分用メモとして気楽に更新していけ。

Twitterに書いたここの部分、自分用に文字起こししておく。

 

live2.nicovideo.jp

21:00くらいから

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Polarisでね、2サビで美海とあたしがハモるとこで、美海とね、いつもどおり手を繋いだりして、本ステージからセンターの真ん中の方にあったステージにふたりで歩いていくっていうところがあったんですけど。

本当は、本ステからセンターステージに着いたら、お互い手を離して、そこにいる周りのワグナーさんに手を振ろうっていう話をね、ふたりで合わせてたのに、本番、手離せなくて。ふたりもう。

スタッフ「ずっと繋いでましたよね!(テンション高め)」

ずっと繋いでた。
なんかあたしはね、『あ、そろそろ離さなきゃいけないな、美海の手を離さなきゃ』と思ってたんですけど、美海が『やだっ!』つってぎゅってあたしの手を握ってくれて。
(横を向いて)『だよな』って思って。あたしも。なんかね、美海が(横に)いたんですけど今。だよなーって思って。
あたしも、なんか、何だろう。離したくないというか、この瞬間を逃したくないっていう想いで。
お互いね、結局、間奏のダンスまで手を繋ぎっぱなしで。
そうなんですよ、そこは本当にもう打ち合わせが全くなくて、その時の感情でこう動いたものだったんですけど。
まあその瞬間がね、6月にね、映像になって見られますので。
ぜひぜひそこも注目して見ていただきたいなと思います。

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アニサマ2018でななみにゃが手を繋いで花道歩いていくところ好き~とか言ってたらファイナルでもっと強いエピソード出てきてすごい。

ファミ通チャンネル、月額864円で『吉岡茉祐のマユ市立 吉岡高校 通信科』と『山下七海のななみんのねごと』のおまけ放送が見れますし今月の放送はどっちもSSAの話してるのでおすすめです。

Wake Up, Girls! FINAL LIVE 〜想い出のパレード〜

SSAはエクストラステージ。HOMEツアー仙台公演で、田中美海はこう言った。

自分からしてみれば、仙台2日目の夜公演から既にエクストラステージに突入していた。2日目の夜は当日券の見切れ席での参加。朝10時から電話をかけるも全然つながらず、ほとんど諦めていた。WUGのデザインマンホールの展示を見るために国際センター駅に行き、駅周辺をふらふらしているところで電話がつながった。時間は11時過ぎ。おそるおそる夜のチケットが残っているかを尋ねると、見切れ席ならあるとのこと。電話を取ってくれたオペレーターさんには感謝しかない。そんなこんなで手に入れた当日券だったので、「最後は悲しんでる場合じゃない。悔いのないように楽しまなければ」と思った。結果、最高に楽しかった。この曲が聴けるのはこれで最後かもしれないな…という思いも随所でよぎったが、Polarisで肩を組んでからの地下鉄ラビリンスという最強のアンコールが始まり、〆の極上スマイルで楽しいが悲しいを上回った。ダブルアンコールでの7 Girls Warも楽しすぎた。なんなら「もう終わってしまう」という悲壮感は2日目昼公演の方が強かったような気がする。

さいたまスーパーアリーナ。アリーナモードとはいえ、やはりでかい。公開リハーサルで2000人を超えるわぐらぶ会員が集まっていたが、それよりもはるかに空席の方が多い。ライブ本番での自分の席はDブロック。『遠い』と思った。逆に、毎公演毎公演で客席に降りてくる演出を入れていたHOMEツアーの距離感が『近すぎた』とも言えるのだが。

横須賀公演で発表されたファイナルライブ開催。正直なことを言えば、さいたまスーパーアリーナが満員になるとは思っていなかった。2018年5月に開催されたGreen Leaves Fesでは空席が目立っていた。幕張メッセイベントホールより大きなSSA。ライブツアーを全通するような人間だけじゃ絶対に埋まらない。わぐらぶ先行でのチケットは7枚まで申し込み可能ということだったので、7枚で申し込み、いろいろ知り合いを誘った。最後のわぐちゃんをみんなに見てほしい、というよりは、みんなが来てくれないと埋まらないでしょ、という思いが強かったと思う。

だが、蓋を開けてみたら一般がすぐ完売。ほんとかよと思っていたが、当日に会場に入ると、200レベルはほぼ埋まっていて、400レベルにも人が入っている。これが全員わぐちゃんを見に来たんだなと思うと感慨深かった。

ライブが始まると、「もう『近い』とか『遠い』とかじゃなくて今を精一杯楽しまないと損だな、だってエクストラステージなんだから。7人で歌うWUG曲が聴けるのはこれで最後なんだから」という気持ちになっていた。

Beyond the Bottomの「WUG最高〜!」。もともとはアニサマ2015で田中美海が『タチアガレ!』で花道を駆けていくときに「アニサマ最高〜!」と言ったのが元ネタであり、それが映画『Beyond the Bottom』のクライマックスで「WUG最高~!」となり、アニサマ2017で歌われた『Beyond the Bottom』では「WUG最高〜!」が『再現』された。だがこのファイナルライブはフェスじゃない。公式発表で13,000人もの人々がWUGを観るために会場に来ているのだ。『想い出のパレード』での「WUG最高〜!」はアニメの再現どころか現実がアニメを超えたような、そんな光景だった。だからこそ、涙腺が緩んできたのかもしれない。

HOMEツアーPart 3では1公演1曲だった新曲披露。ファイナルでは『海そしてシャッター通り』『言葉の結晶』『土曜日のフライト』『さようならのパレード』がCDの収録順どおり、立て続けに披露された。どれもわかりやすくライブで盛り上がる曲ではないし、初めてWUGのライブに来る人も多いであろう中、「これがWake Up, Girls!の最後を締めくくる楽曲たちなんだ」ということを改めて表明するような流れだったと思う。

仙台2日目の昼公演で、田中美海は「歌に感情を乗せるのが得意じゃない。CDどおりにしか歌えない。今日は歌で気持ちを届けられるように頑張った。私の気持ちは届きましたか?」と言い、客席からの歓声を受け、泣いた。そこから2週間しか経っていないファイナルライブでの『土曜日のフライト』。明らかにCD音源とは違う感情の入った歌声。「悔しい怖い泣きたい もうそのレベルじゃない」。本当に最後の最後まで最高を更新し続けた、『最後まで演奏を続けるこの船』だったと思う。

『さようならのパレード』。この曲を愛知公演で聴いたとき、立ち尽くすことしかできなかった。仙台2日目の夜公演では、間奏での『Wake Up, Girls!』コールや、1人1人への拍手などが起こり、客側もこの曲を聴く『覚悟』ができてきたように思う。彼女たちを笑顔で見送らなければ、と思い、必死でWUGコールをし、必死で拍手をし、全力で「Wake Up!」を叫ぶ。この心構えは仙台2日目夜の当日券がなかったら得られなかったものだと思うし、なんというかすべては繋がっているんだなと思った。

アンコールではHOMEツアーPart 1のスタートを飾った『SHIFT』から、Part 3でどんどん楽しさを増していった『地下鉄ラビリンス』を続けて。楽しさ×楽しさを爆発させたようなセットリスト。全部で7公演あったPart 1で7つの鍵を見つけたからこそ、ファイナルでは鍵を探すことはなかった。Twitterでそういった解釈を見かけ、唸らされた。そしてWUGの成り立ちからしても外せない曲になった『TUNAGO』でアンコールが締めくくられる。

 ダブルアンコール。お手紙朗読。お手紙の内容はファミ通のライブレポートで書き起こしが掲載されている。本当に最後までありがとうWUGちゃんねる。

www.famitsu.com

手紙の中で田中美海は「まだまだ声優としてやりたいことたくさん!さまざまなキャラクターを通して、私の声をたくさんの人に聞いてもらいたい」と言った。

最後に更新されたブログに掲載された、『灼熱の卓球娘』の上矢あがり、『賭ケグルイ』の早乙女芽亜里、『ゾンビランドサガ』の星川リリィの色紙。声優・田中美海がWUGとしての活動をしながらも、これまでに様々な現場で繋いできた縁がここにあるんだなと改めて思ったし、これからも声優・田中美海の声をいろいろなキャラクターを通して聴きたい、と思った。

ameblo.jp

そして『Polaris』。3月6日のFIVE STARSお渡し会での宣言どおり、無事7連番で肩を組めました。ありがとう。

トリプルアンコール。最後はやっぱり始まりの曲、『タチアガレ!』。アリーナのそこら中でジャンプしているオタクがいて、もうめちゃくちゃ楽しくなったし、最後に悔いなく跳べました。ありがとう。

『さようならのパレード』の歌詞のとおり、『さようなら』はいやだし、慣れることなんてないと思うけど、声優ユニットが解散してもメンバーそれぞれの人生が続いていくように、オタクの人生も続いていく。今が人生第何章なのかは正直よくわからないけど、2014年の1月にWUGと出会ってからの5年と3か月は間違いなく楽しかった。それだけは間違いないと自信を持って言える。もうちょい解散を引きずるかもしれないけれど、忘れずに、でも上手に忘れられるように、人生をやっていきたいと思います。

Wake Up, Girls! 解散に寄せて ~WUGと青い鳥~

 本稿は、2018年の夏コミで発行した同人誌『声ヲタグランプリVol.19』(谷部)に掲載された原稿をブログに載せるにあたり一部記載整備したものです(大枠としてはほとんど変えていません)。執筆時期としては2018年の8月、ちょうど『Start It Up,』の頃ですが、当時書き綴ったことがHOMEツアー全33公演を終えた今の気持ちともあまり変わらないのでは、と思ったので、ブログで公開してみます。

 なお、注意点としまして、

 それではどうぞ。

 

Wake Up, Girls! 解散に寄せて ~WUGと青い鳥~

  2018年6月15日。それは唐突にやってきた。声優ユニットWake Up, Girls!」は、2019年3月をもって解散というファンクラブからのメール。前日の6月14日には、毎年恒例となった『Wake Up, Girls! ×東北楽天ゴールデンイーグルス』のコラボナイターが開催。こちとら5年連続で平日に休暇を取ってコラボナイターに参加していたのだ。5年目のコラボナイターでは『極上スマイル』が応援歌として採用され、来年以降のコラボも期待できるものだと思っていた。そんなWUGナイター翌日の解散発表はあまりに唐突だった。

 私とWUGとの出会いは、2014年1月の、劇場版『七人のアイドル』とTVシリーズである。正確に言うならそれより以前からWake Up, Girls!という名前自体は耳にしていたが、アニメが始まっていない時点で声優ユニットを追いかけようという気には全くならなかったので、きっかけはやっぱりアニメだったのだ。映画をやっているなら見に行くか、せっかく見に行くなら舞台挨拶の回にするか、と本当に軽い気持ちで見に行った。そのときに見たWUGメンバーの印象は、正直よく覚えていない。まさに『初めての出会いは平凡だったけど』というやつである。その後はTVシリーズを見続けて、なんか良いなあと思ったのでちょろちょろイベントに行くなどしていた。そして8月から9月にかけて開催された1stライブツアー『素人臭くてごめんね!』。当時はこれが最初で最後のツアーになると思っていたので、東京公演に加えて、千秋楽の仙台公演にも行くことにした。今考えると「これが最後だろう」と思ってわざわざ仙台まで遠征するの、この時点でかなりWUGのこと好きだよな自分。そんな仙台公演の終了後、自分は以下のようなツイートをしていた。

 

  自分の飽きっぽさは自覚していたので、「ずっと好きでいる」「ずっと追いかけ続ける」ということの難しさを、WUGを好きになって1年目で既に考えていた。そんな不安をよそに、2014年12月の『Wake Up, Girls! FESTA. 2014 Winter』にて続編劇場版の制作が発表。2015年の夏に開催された2ndライブツアー『行ったり来たりしてごめんね!』は、大阪・福岡・東京・仙台の4会場8公演あったが、うっかり全通してしまった。ツアー全通なんて2012年の堀江由衣堀江由衣をめぐる冒険III ~Secret Mission Tour~』以来。2年目になっても相変わらずWUGに対する熱は冷めやらぬ感じであった。

 2016年にアニメの新たな展開はない中で開催された3rdライブツアー『あっちこっち行くけどごめんね!』は、「アニメの展開がない分Wake Up, Girls!というコンテンツを私たちが引っ張っていかなければ」というWUGちゃんたちの決意が感じられるものだった。7会場(千葉、大阪、新潟、仙台、沖縄、福岡、東京)14公演の規模となり、プリンセスという会場ごとのお当番制度が設けられたツアーでもあった。自分は千葉・新潟・仙台・東京の4会場8公演に参加したが、プリンセスを務めるということはかなりの重圧だったようで、ライブの最後のMCでプリンセス担当への思いを他のメンバーが話していたのが印象的であった。ライブBlu-rayには東京公演が収録されているため、プリンセス田中美海の勇姿は今でも視聴できる。映像化されやすいのはやっぱり東京近郊での公演になってしまうので、みにゃみ推しは得をしているなあと思うところ。また千秋楽では生バンドというサプライズもあった。

 2017年はアニメ新章を控えての4thライブツアー『ごめんねばっかり言ってごめんね!』。ツアー規模は前年と同じく7会場14公演。場所は大阪、仙台、埼玉、福岡、沖縄、広島、東京。仙台、福岡、沖縄の3会場は前年とまったく同じ会場であり、あんまり代わり映えしないな、というのが第一印象だった。そのため当初は仙台、埼玉、東京の3会場に行けばいいかなと思っていたのだが、埼玉公演の後に気付いたら福岡公演のチケットと飛行機を取っていた。結果プラチナ・サンライズが回収できたので良かった。

 そんなこんなで思い返してみるとWUGのツアーって毎年楽しかったなあと。また、『自分と東北との繋がり』というのもWUGがきっかけだった。父親は九州、母親は関東の出身で、東北には親戚もおらず、行ったこと自体がほとんどなかった。だがWUGにハマってからは実家に帰った回数よりも仙台に行った回数の方が間違いなく多いし、チャリティーコンサートで岩手に行ったり、田中美海ソロイベントで秋田に行ったり、WUGがきっかけで初めて行った県というのも増えた。特に2018年3月の秋田遠征はあいにくの雨模様だったものの、昼に食べた比内地鶏の親子丼がめちゃくちゃ美味かったり、ソロイベント後に適当に入った飲み屋で東北の日本酒を色々飲み比べたり、翌日に雨の千秋公園を散策したりと、イベント以外も楽しい記憶が残っている。ソロイベントといえば2017年の田中美海ソロイベントは声優アワード田中美海が新人女優賞を受賞した翌日だったことや、メモリアルライブというコンセプトもあってかなり感慨深かったし、小学校の卒業式で「私は声優になります!」って宣言して卒業証書をもらうみにゃみの映像を見て泣いたよね。

 話を本筋に戻そう。WUGを好きになってからずっと抱いていた「ずっと好きでいる」なんてことができるのかという不安に対し、「毎年毎年楽しいライブツアーをやる」というシンプルな回答を提示してくれる声優ユニット。もちろんライブだけじゃなく、ラジオやトークイベントに動画番組に、いろいろなコンテンツが楽しかった。7人のバランス感が好きだった。だからこそこれまで「好き」という状態であり続けることができたのだと思う。「好き」の継続といえば、田中美海フォトブック『みにゃみのとぅえんてぃーず』にて、田中美海がファンへのメッセージとして「あ、でも無理はしないでくださいね(笑)。人を応援するのって、大変なことだと思いますから。できる範囲で、私のことを思っていただけたら幸せです」と語っており、あーそういうこと言ってくれると好きになっちゃうよねとなった。このみにゃみのメッセージは『KING SUPER LIVE 2015』のパンフレットの堀江由衣インタビュー、「堀江由衣は、もっと気軽なもので良いんです(笑)」に通ずるものがある。だって声ヲタは一瞬じゃなくて持続させるものでときにはケガするくらいの覚悟でのぞまなきゃ。でも無理しすぎは禁物。

 過去のライブツアーの振り返りはこれくらいにして、今の話をしたい。現時点で、『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME -』のPART I、『Start It Up,』が終了したところである。メンバー曰く「ホームパーティーみたいな楽しいライブ」とのことだが、まさにそのとおりでとにかく楽しいライブだった。ライブのMCで青山吉能が「『楽しさ』が『寂しさ』に勝ちましたか?」と言っていたが、寂しさというよりは「こんなに楽しいのに本当に解散するのか?」との思いが湧いてくるほどだった。だが、2019年の3月に声優ユニットが解散することは止められない。リズの決断を青い鳥は止められないし、WUGの決断をオタクが止めることもできないのだ。突然の解散発表で、心の中にもやもやしたものが残っていることは事実だ。ただ、『リズと青い鳥』の終盤で傘木希美が「私、みぞれのソロ、完璧に支えるから。今は、ちょっと待ってて」と言ったように、まだ解散について心の整理がついていなくてもこう言うことはできる。「私、WUGの最後のツアー完璧に支えるから。今は、ちょっと待ってて」、と。